お金は貸さないことにした
他人からお金を借りる行為を、まるでATMでお金を下ろすように考えていたM君。
お金に対してルーズな上に、パチンコや競艇などのギャンブルが大好きで、給料をもらっても翌日にはピーピーと鳴いて、会社の同僚や後輩に借金を無心するのだった。
「次の給料日には必ず返しますから…」と言うように、これまではきっちりと返していたM君だったけど、毎毎月同じパターンを繰り返すので、私はお金を貸さないことにした。
「すんません!今月もまたお願いできるやろか?」
「いえ、もうM君にはお金を貸さないよ!いい加減に生活を改めた方がいいよ」
「そんな殺生な!どうしてもダメなん?」
「ダメだ!そんなにお金が必要なら、闇金にでも借りたらどうよ?」
「・・・」
とかなりナーバスなやり取りをしてしまった。
その翌日のことだった。
「言われたようにしたよ」
「えっ?!」
「闇金にお金を借りたよ」
「たいへんなことになるよ」
「でも、他に貸してくれる人いなかったから」
「とにかく、今すぐ闇金専門の弁護士さんを訪ねて相談しなきゃ!」
まさか、M君が本当にヤミ金へ手を出すなんて想定していなかったから、かなりうろたえてしまったけど、同じ会社の人ということもあって、ある法律事務所を紹介してあげた。
それが、闇金専門の弁護士さんだった。とにかく早急に手を打ったことで、ほぼ被害なく解決できたM君。
「安易にお金を借りるもんじゃないと弁護士さんからも叱られたよ」。
お金を貸さないことにしたおかげで、M君は闇金へ手をだしてしまったけれど、危うい目に遭うか遭わないか紙一重だったことで、借金はすべきではないと学習したようだった。